「演劇を知る会」第3弾「きらめく星座」

「演劇を知る会」第3弾となる今回は、こまつ座公演『きらめく星座』を鑑賞いたしました。参加者は総勢11名。舞台の幕が上がると、私たちは一気に85年前の東京へと引き込まれます。

_この作品は、劇作家・井上ひさしが残した名作の一つで、昭和15年の東京の小さなレコード店を舞台に、家族や友人たちの笑いに満ちた日常が描かれます。しかし、その背後には戦争の影が確実に迫りつつあり、登場人物たちが抱える不安や悲しみが静かににじみ出てきます。明るい歌声やユーモラスな会話と、時代の暗さとの対比が、我々の胸を強く打ちました。
_舞台では多くの歌が繰り広げられます。「一杯のコーヒーから」「青空」など、軽快で懐かしさを感じさせるメロディは、我々の心を自然に和ませ、つい口ずさみたくなるものでした。その一方で、役者たちの表情は、時代の重苦しさや先の見えない不安が巧みに織り込まれており、笑いと涙が交錯する濃密な3時間となりました。登場人物一人ひとりの人間味が生き生きと描かれ、当時の時代に没入するような感覚を覚えました。
_井上ひさしが生涯を通じて問い続けた「戦争と庶民の生活」というテーマは、今を生きる私たちにとっても決して過去の問題ではありません。家族の温かさと戦争の影、その二つを見事に描き出した舞台に、深い感動を覚えました。
_観劇後は、恒例の懇親会を中華居酒屋「佳宴 代々木店」で行いました。本来17時からの予約でしたが、30分も早く到着してしまい、真っ暗な店内に入ると、ご主人と女将さんがちょうど昼寝の最中という、どこか微笑ましい場面もありました。それでも笑顔で快く迎えてくださり、早速乾杯。途切れることなく飲み放題の酒を注文しながら舞台の感想を語り合い、和やかで美味しいひとときを楽しむことができました。

 

カテゴリー: 5.この指とまれ パーマリンク