暑い日が続いていますが、いかがお過ごしですか。
この指とまれ活動の「演劇を知る会」の熊川・平井です。
今回のご案内は、井上ひさし作の「きらめく星座」の鑑賞です。
劇団「こまつ座」社長、井上麻矢さん(故井上ひさしさんのお嬢様)のご厚意で、特別にチケットを準備することができました。
本物の演劇に触れたい方は是非観劇して下さい。
よろしくお願いいたします。
9月18日(木)13時開演
(12時30分に劇場前に集合)
こまつ座第155回公演『きらめく星座』
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
チケット代金8800円
また、終演後、懇親会を開催します。是非ご参加ください。
お問い合わせ、お申し込みは世話人、平井達哉までメールでお願いいたします。
hirai09030686244@gmail.com
●作品の紹介
作:井上ひさし
演出:栗山民也
出演:松岡依都美 久保酎吉 平埜生成 粟野史浩 瀬戸さおり 後藤浩明 宮津侑生 神野幹暁 木村靖司 大鷹明良
東京・本郷のレコード店を舞台に、太平洋戦争前夜の昭和16年、緊張が高まる社会情勢の中で、音楽と家族の絆を支えに、懸命に日常を生きる人々の姿を描いた、井上ひさしの代表作の一つ。
登場するのは、レコード店を営む浅草出身の一家とその周囲の人々。庶民の視点から見た当時の暮らしや思想統制の現実、自由の尊さが、ユーモアと優しさをたたえた会話劇として繊細に紡がれていきます。作品の随所にちりばめられた昭和の名曲とともに、家族の温もり、笑い、そして切なさが胸に迫ります。
「人間っていいな」と思える。「こんな時代でも、こんな風に人は生きていたんだ」と感じられる。
戦争という巨大な不条理の影の中でも、星のように小さく、しかし確かにきらめく一人ひとりの人生。
こまつ座が誇る名作『きらめく星座』は、今を生きる私たちにこそ、届けたい希望と勇気の物語です。観劇後に、きっと心のどこかにやさしい灯がともることでしょう。
●観劇のポイント
舞台:1941年、開戦直前の東京・本郷
登場人物:家族と近隣の人々、複数名
視点:戦時下でも日常を生き抜く庶民のユーモアと知恵
構造:軽妙な会話劇と音楽で構成され、群像劇として広がりがある
戦争の記憶:戦争直前の庶民の不安と葛藤
愛の形:家族愛、文化への想い
表現のトーン:軽妙、ユーモア、音楽的
演出:テンポの良い会話と音楽、家庭の温もりが中心。コミカルなやり取りの中に、深いメッセージが隠れている
●井上ひさしの紹介
井上ひさし(1934年11月17日~2010年4月9日)は、日本を代表する劇作家、小説家、エッセイストであり、その多才な才能と豊かな人間性で多くの読者と観客を魅了しました。山形県生まれの井上は、幼少期の戦争体験や地方での暮らしを通して人間の生活や文化に深い洞察を得ました。
井上氏の作品は、ユーモアや風刺を交えつつも、人間の生き方や社会の問題を鋭く描き出す点が特徴です。小説では『手鎖心中』や『吉里吉里人』といった名作を生み出し、数々の文学賞を受賞しました。一方で劇作家としても高い評価を受け、戯曲『十一ぴきのネコ』や『父と暮らせば』などは、今もなお多くの観客に感動を与え続けています。
特に、庶民の視点を大切にし、彼らの生活や思いを物語に反映させる手法は、井上作品の大きな魅力です。また、言葉の力を重視し、独特な言葉遣いや構成力で知られる井上氏は、日本語表現の可能性を追求しました。
2010年に逝去するまで、多くの作品を通して読者や観客に深い感動と考えるきっかけを提供し続けた井上ひさし。その遺した文学的遺産は、今なお輝きを放ち、多くの人々の心を豊かにしています。
●こまつ座の紹介
こまつ座は、1983年に劇作家・井上ひさしを中心として設立された日本の劇団です。井上ひさしの作品を上演するために設立され、その後も彼の遺志を受け継ぎ、名作戯曲を中心に日本演劇界を牽引してきました。「日本語を大切にする」「演劇で社会を問い直す」という理念を掲げ、言葉の力と人間の在り方を追求し続けています。
設立当初から、井上ひさしの作品を多く手掛け、『父と暮らせば』『夢の泪』『化粧』など、戦争や平和、家族、社会問題をテーマにした戯曲を次々と上演。重厚なテーマを扱いながらも、ユーモアや人間味を忘れない作風が特徴で、観客に深い感動と考えるきっかけを与えてきました。
また、こまつ座は舞台芸術の質にこだわり、多くの名優や演出家とともに、完成度の高い作品を生み出しています。その活動は演劇ファンだけでなく、広く一般の人々にも支持され、日本の演劇文化の発展に大きく寄与しています。
井上ひさしの没後も、彼の作品や精神を引き継ぎ、新しい演劇の可能性を模索する活動を続けています。現代社会における問題や人間の普遍的なテーマを見つめ直す場として、こまつ座の舞台は今も多くの人々の心を捉えています。