第15回ビジネス研究会活動報告

日  時 2026年3月25日(水) 18時30分~22時30分
場  所 大田区消費者生活センター 及び 健康中華 青蓮 蒲田東口店
研修内容  構造改革による成長軌道への回帰
担当講師 松本 彰様
参加者  15名(講師含む)

今回は前回に続き特別講演会として、初の稲門関係者ではない、慶應義塾大学出身の松本彰様をお招きして、「構造改革による成長軌道への回帰」という演題でお話しいただきました。

1981年第一生命保険相互会社(現ホールディング株式会社)に入社され27年勤務した2008年、株式会社白洋舍に3年契約で出向され人事部長として人事制度づくりに携わるも、2011年に人事とは全く畑違いのクリーニング事業本部長に任命され手腕を発揮されました。その功績が認められ2018年に初の創業家以外の代表取締役社長に就任されました。ここから松本様の真の苦難の道が始まります。

2020年初めから猛威を振るった新型コロナウイルス、いわゆるコロナ禍が会社の事業を一変させました。人流が止まり、在宅リモートワーク、外出自粛、海外からの渡航制限、飲食店の休業、東京オリンピック・パラリンピックの延期など想像を遥かに超える業況の悪化により、祖業であるクリーニング事業に加えリネンサプライ事業、ユニフォームレンタル事業すべての業績が悪化し、まさに非常事態となりました。

松本様はこの危機を前に白洋舍の弱点を浮き彫りにして改革するチャンスととらえ、不退転の決意で構造改革に取り組みます。

コロナ前に取り組んでいた区分経理の仕組みによる数値の見える化と従来の3事業本部を廃止し事業統合本部への一本化による迅速な意思疎通のしくみづくりがこの構造改革の下支えとなりました。そして構造改革推進上最も重視した二つの指標である損益分岐点比率と生産性、この二つを大きく改善させることで利益の出やすい企業に進化するための羅針盤としました。この指標を具現化するために松本社長は筆舌に尽くしがたいご苦労を味わいます。社内組織、グループ会社の統廃合、事業ポートフォリオの見直し、クリーニング事業のチャネルシフト(売上追わず固定費圧縮による利益率改善)などの課題に次々と着手します。

特に2019年~2023年の間で21の支店・事業所を13に削減、店舗併設工場10工場をすべて閉鎖し、集中工場35工場を30工場に削減しますが、従業員の理解を得るため全国の支店・事業所を回り社長自ら対話集会を実施しました。年間約80か所、500名以上が参加しましたが、社長から構造改革の目的と狙いを真摯に説明するも、一方で従業員には一定の痛みもあったことも確かであり、多勢に無勢、集中砲火を浴びることもしばしばありました。

この活動が徐々に浸透し業績は改善に向かいますが、松本社長は一過性で終わる構造改革だけでなく、次の課題である風土改革によりあるべき職場風土、企業風土の構築・定着のため心血を注ぎます。これらの苦労が実を結び2022年度決算では過去最高益を叩き出す快挙となり、白洋舍は松本社長の標榜する企業体質・体力が改善され「稼ぐ力の強い会社」へと変貌いたしました。

限られた時間でしたが受講者からはヒリヒリ、ドキドキするような内容を淡々と自分の言葉でわかり易くお話される松本様の生きざまを見たようで、もっといろんなお話をおききしたかったという声が多くきかれました。「チャンスは活かすもの、期待は応えるもの」を座右の銘とされる松本様だからこそ白洋舍の危機を救うことができたのだなと納得した次第です。最後に松本様のおっしゃった「無我夢中で何かに取り組むことができたことは幸せなことだったのではないか」という言葉が胸に残りました。

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